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もしも矢沢永吉が桃太郎を朗読したら

 矢沢です。

昔々あるところに、お爺さんとお婆さんがワオワオしてたんだけどさ。

お爺さんが山へ柴刈りに、お婆さんが川で洗濯してたら、ビッグな桃が流れてきたわけ。

ドンブラコ、ドンブラコって。ノッてくれ、ノッてくれって。婆さんつい拾っちゃったのよ。

その桃を切ったらさ、赤ん坊が生まれたのよ。この時点でもう、スターの素質があったのかな。

じゃあ桃から生まれたから、桃太郎にしようって。んでお爺さんが一回、俺のところに相談にきたんだよね。永ちゃん、この名前どうすかって。

んで、俺は言ったよね。いいね、その名前。いい名前なんだけどさ、俺はいいんだけど、YAZAWAがなんて言うかな?

結局、桃太郎に決まったんだけどさ。桃から生まれた子供。ヤバイ、って思ったよね。

それから桃太郎はスクスク育つんだけど、ある日急に、鬼ヶ島へ鬼退治に行きますとか言い出して。

すごいよね。桃から生まれて、鬼とケンカするとか。スケールがデカい。ドラマチックな生き方しかできないんだろうね。

お爺さんが言ったんだよ。「やっちゃえMOMOTAROH」って。

そんで、桃太郎が旅だったのよ。お婆さんから団子もらって。

NIPPON ICHIって書いてあるタオルを振り回してさ。ビッグマウス叩いて。

若いころにありがちだよね。成り上がってやろうって。でもこういうやつ、矢沢は嫌いじゃない。

そしたらさ、動物が三匹現れたのよ。ギラギラした目で、桃太郎に言ったんだよね。

「桃ちゃん、きび団子をくれたら、鬼ヶ島へお伴しゃっす」

桃太郎は思ったね。それ、最高。今どきいないじゃない。団子で命張れるやつって。

そんで犬と、キジと、ファンキーモンキーベイベー連れて、鬼ヶ島へ行ったんだよね。

そしたらさ、でかいのよ、鬼が。強そうなのよ。怖いのよ。

犬がさ、ビビっちゃって。吠えるのよ。どうすんすか、桃ちゃん。勝てるんすかって。そしたら桃太郎は言ったんだ。

「俺いる、犬いる、猿いる、キジいる。これ、余裕」

鬼達が桃太郎に気付いて、なんだお前らって言ったのよ。桃太郎も負けずに睨み返してさ、こうつっぱったわけ。

「俺、桃太郎だけど。お前ら倒して、大金掴んでビッグになるんで。そこんとこ、ヨロシク」

もう居ても立ってもいられななくってさ、全員そろって鬼に飛びかかって。シャバダバよ。

鬼達みんなボコボコにしちゃって。そしたら鬼達、もう悪さはしませんって謝るのよ。

そんで、金銀財宝とか、BRAVIAとか、プレミアムモルツとか持ち帰って、幸せに暮らしたんだけどさ。

桃太郎達が、死にものぐるいで戦って、一生かけて稼ぐ金額。矢沢の二秒。

 

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もしも矢沢永吉が『桃太郎』を朗読したら

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