実写版ルパン三世の監督がビートたけしだったら
「待てぇい、ルパ~ン!」
「へへっ、捕まえてごらんよ、とっつぁん」
財宝を握りしめて、夜の街を走るルパン三世。今日も華麗に一仕事片付けた。
それを追うのが永遠のライバル、ご存知銭形警部である。
「くそ、ルパンの姿を見失った。おい、お前。ルパンを見なかったか?」
ひとりの警官に声をかける銭形。警官は「あちらです」というと海の方を指さした。
「よし、わかった……ん、待てよ。たしかこの辺に警官は配置していなかったはず。どうしてお前がここにいるんだ? さてはお前……!」
「へへっ、バレちまったら仕方ねえ!」
そして警官はバリバリと、顔のマスクを引き剥がしす。
するとそこから、フリップを持ったルパンが姿を現した!
「はい、今週も始まりました。天才たけしの元気が出るテレビ~! おい、とっつぁんこっち来なさい。早くこっち来いよお前は! 見てくださいこの四角い顔、酷いでしょ。こないだ野球場にいったら選手たちがみんなこの顔をベースだと勘違いしてね。思わずスライディングしちゃって。そんでみんなスライディングしちゃうものだから顔もボロボロになって。ウー痛いよ~とか言ってね。バカヤロウなんつってね。
今日のテーマはこちら。『こんなルパン三世は嫌だ』。
えー、ではまずこちら。『不二子がブサイクだ』。これはイヤですね。もうルパンを何度も誘うんだけど全然ルパンが反応してくれなくってね。そしたらなぜか五エ門が反応しちゃってね。不二子も「あらこっちの斬鉄剣も立派なのね」とか言ってね。そんでお互い裸になったら不二子にも斬鉄剣が付いていてね。お前男だったのかとか言ってね。しかも五エ門より立派でね。五エ門もウーとか言って泣きだしてね。でもとりあえずやっちゃってね。バカヤロウなんつってね。
続いてはこちら。『ルパンがアホだ』。これはなんなんでしょうね。『今夜、ダイヤを盗みにいきます』とか手紙を送ってくるんだけど、裏にきちんと住所が書いてあったりしてね。そんで現場にも真正面から来てね。青っ鼻垂らして。『すみませーん、ダイヤくださーい』とか言ってね。そしたら銭形警部も『はいどーぞー!』とか言ってね。ダイヤ渡しちゃったりしてね。やったーとか言ってね。よく見るとダイヤじゃなくてただのおはじきでね。百億万円になりますとかいってね。わーい安いとか言って。バカヤロウなんつってね。
次はこれ。『カリオストロじゃなくて、スカトロの城だ』。これはとんでもないですね。「今夜、黄金をいただきにあがります」とか言ってね。お城に警備が張り巡らされて。警備をくぐり抜けてルパンがトイレに忍び込んで。便器の下で待機してね。ルパンに気付いてないクラリスがトイレで踏ん張るんだけどね。あれ便秘かなとか言ってね。そんでようやく便器から何かぶらさがってきて。しめしめ黄金が出たぞとか言ってね。よくみたらクラリスの斬鉄剣でね。お前男だったのかとか言ってね。とりあえずやっちゃったりしてね。バカヤロウなんつってね。
元気が出るテレビ、今週はここまで~!」
「さっきのはなんだったのかしら……」クラリスの問いに銭形警部が答えた。
「奴はとんでもないものを盗んでいきました……読者の時間です」