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この百合マンガがすごい!2015

雑記 百合

  多くの名作百合漫画を残した『ひらり、』が衝撃の休刊、『まんがの作り方』や『オハナホロホロ』といった名作長編の完結。あの『ユリイカ』が百合特集を組むなど、話題に事欠かなかった今年の百合業界。

 たくさんの百合漫画が百合豚達の身体の上を通りすぎていきました。

 前回の記事がとても好評だったため、本家「このマンガがすごい!」の発売日に今年も「この百合マンガがすごい!」を更新させていただきます。
 去年の記事はこちら→ この百合マンガがすごい!2014

 この記事では百合ヲタの管理人が去年12月1日~今年11月30日までに発売された百合漫画の中から独断と偏見でランク付けして紹介していきます。また単行本が3巻以上続いている作品・新装版・海外の作品は除外しました。
 あくまで管理人の独断と偏見であることをご了承ください。

 

 20位から11位まではこちら(敬称略)。

第20位 コダマナオコ『コキュートス』

第19位 青井はな『モモイロデイズ』

第18位 あさぎ龍『15歳』(全3巻)

第17位 Haya.『薄光スノウフレーク』

第16位 百乃モト『トゥルー・トゥルー』

第15位 大沢やよい『屋上ぴかぴかロマンス』

第14位 河合朗『未完成ガール』

第13位 ひるのつき子『白銀ギムナジウム』(上・下)

第12位 袴田めら『理由もなく悲しくなるの』

第11位 ちさこ『ダークチェリーと少女A』

 

 雪の幽霊と女子高生の交流を描く方言百合『薄光スノウフレーク』、少女だけ寄宿舎を舞台にしたせつない大作『白銀ギムナジウム』など、同人誌から商業として刊行された作品や、成年向け百合漫画の名手あさぎ龍先生の一般誌連載『15歳』などいずれも佳作揃い。

 

 そしてここからTOP10(敬称略)。傑作だらけのランキングです。

 

 

 

第10位 高嶋ひろみ『おべんとうと加瀬さん。』

おべんとうと加瀬さん。 (ひらり、コミックス)

おべんとうと加瀬さん。 (ひらり、コミックス)

 

  前作『あさがおと加瀬さん。』から2年ぶりの続編にあたる本作は、ボーイズラブ作品や一般誌でも活躍中である高嶋ひろみ先生初の本格百合漫画。

 緑化委員の内気な女子高生・山田と、彼女の憧れである陸上部の美人女子高生・加瀬さん。そんな二人の見ていて思わずニヤニヤしてしまう恋愛模様は本作でも健在。修学旅行での初めて一緒のお風呂など、ページの随所からにじみ出る思春期特有の胸が騒ぐ色気も見所です。

 掲載誌の『ひらり、』休刊に伴い今後の動向が注目された本作ですが、無事来年以降のコミックス化が決定して一安心。現在は『webウィングス』にて新作が発表されています。

 

 

 

第9位 竹宮ジン『game』

game (IDコミックス 百合姫コミックス)

game (IDコミックス 百合姫コミックス)

 

  百合漫画界のカリスマともいうべき竹宮ジン先生、百合姫コミックスでは五冊目となる本作も安心の竹宮節を発揮。

 どこにでもいる普通の女子高生・モリコは突然、金髪美人の転校生・ベッキーに惚れられたうえ「まこにゃん」というあだ名で呼ばれるようになってしまう。実はベッキーは百合ゲー好きのオタクで、モリコはゲームのキャラにそっくりだったのだ。「まこにゃん」として愛される日々に、やがてモリコの胸の奥は痛みを覚え始め……。

 常に高いクオリティで作品を発表し続ける竹宮ジン先生。今月末には初の本格連載作品である『想いの欠片』の完結巻が発売。こちらも素晴らしい作品になっているので、百合好き諸氏は是非ともお楽しみください。

 

 

 

第8位 片倉アコ『明日の君に花束を』

明日の君に花束を (百合姫)

明日の君に花束を (百合姫)

 

  『マリみて』など二次創作同人の世界で活動してきた片倉アコ先生。初の商業単行本はアダルトな雰囲気と繊細なタッチが融合した良作揃いの短篇集。

 女子高生とその幼馴染の母という不倫愛を描いた衝撃の短編『リリー・マルガリーテとかすみ草』『ジプソフィラの儚い思惑』、予知能力を持つと噂されるクラスメートから「私だけを見てもらう」という宣告を受けた女子高生を描く『笑わぬ魔女の死刑宣告』など全六篇。

 今後の活躍にますます期待大の新人登場。要注目です。

 

 

 

第7位 缶乃『あの娘にキスと白百合を』(1~2)

あの娘にキスと白百合を 1 (MFコミックス アライブシリーズ)

あの娘にキスと白百合を 1 (MFコミックス アライブシリーズ)

 

  創作百合同人で活躍している缶乃先生の商業連載作品。中高一貫の女子校を舞台に、複数のカップルの物語を織りなす群像劇。

  舞台は中高一貫の女子校。品行方正成績優秀な「秀才」美少女・白峰あやかが目の敵にしているのは、成績で常に自分の上を行く「天才」のクラスメート・黒沢ゆりね。しかしファーストキスを奪われたことから、あやかはゆりねを次第に別の意味で意識し始める。

 毎話に「キスシーン」が存在する本作は、狙ったようなタイトルに正統派のシチュエーション。しかしそれに支える確かな力量が光る高いクオリティ。万人にオススメできる佳作です。

 

 

 

第6位 サブロウタ『citrus』(1~3巻) 

citrus (1) (IDコミックス 百合姫コミックス)

citrus (1) (IDコミックス 百合姫コミックス)

 

  現在、飛ぶ鳥を落とす勢いで注目を集める百合姫の人気作品。画力に定評のあるサブロウタ先生の本格連載。

 彼氏募集中の純情なギャルである柚子は、美人の生徒会長・芽衣が男性教師とキスする場面を目撃、さらに親同士の再婚で芽衣と義理の姉妹になってしまう。最初は衝突を繰り返す二人であったものの、分かり合ううちにお互いの存在を意識し始め……さらに複雑な人間関係が絡み、姉妹の禁断の感情はさらにエスカレートしていく。

 ドロドロに深まっていく展開。先を追わずにいられないストーリーテリング。そして卓越した画力。全てが高い水準で描かれた業界最注目の作品です。

 

 

 

第5位 さと『フラグタイム』(全2巻)

フラグタイム(1) (少年チャンピオン・コミックス・タップ!)

フラグタイム(1) (少年チャンピオン・コミックス・タップ!)

 

  『Championタップ!』にて連載され、開始当初から大きな話題を集めた青春SF百合ストーリー。描くのは『いわせてみてえもんだ』『りびんぐでっど!』などで高い評価を受けるさと先生です。

 三分間だけ時間を止める能力を持つ内気な女子高生・美鈴は、止まった時間の中でクラスの中心的人物である美少女・遙のスカートの中を覗いたところを遙にバレてしまう。遙だけは何故か、時間停止能力の干渉を受けなかった。弱みを握られた美鈴は遙と共に、止まった時間を共有する秘密の日々を送ることになる。

 柔らかなタッチで描かれる少しミステリアスな世界観。謎を孕んだまま進む世界は怒涛の展開を得て、やがて鮮やかな着地を見せます。巧みなシナリオと心理描写が組み合わさった、青春SFの新たな名作が誕生しました。

 

 

 

第4位 大北紘子『Vespa』

Vespa (IDコミックス 百合姫コミックス)

Vespa (IDコミックス 百合姫コミックス)

 

  『月と泥』『裸足のキメラ』など評価の高い百合作品を残してきた大北紘子先生、三冊目の舞台は中世。

 男の出生率が激減した世界。和議を条件に隣国の女王の元へ嫁ぐことになったイザベル姫。イザベルに仕える兵士であり、身分の違いがありながらも互いに思い通じ合っていた恋塚少尉は、嫁ぎ先でイザベルに強いられる非情な行いを知り、婚礼式典のパレードでイザベルを奪還する計画を立てる。

 女と女の世界で描かれる、最初から最後までノンストップの高濃度エンターテイメント。味のあるサブキャラクターにも注目してほしい逸品です。同時収録の短編「インソムニアガール」もオススメ。

 

 

 

第3位 西UKO『宝石色の恋 西UKO作品集』

宝石色の恋 西UKO作品集

宝石色の恋 西UKO作品集

 

  創作百合同人の世界でも多大な人気を集め、『コレクターズ』の連載でも知られる実力派、西UKO先生初の短篇集。

 うっとりとした顔でマネキンに話しかける女、好きな女の置いていったタバコを買い足す女、子持ちの女に惚れた女子大生。美しく繊細なタッチで描かれた、青春時代には出せない『大人の百合』が放つビター&スイートな世界を存分に味わうことができる全十七篇。

 『楽園』で連載された五年分の作品をまとめた本作は、西UKOワールドを噛みしめるのにピッタリの濃厚な一冊。美しい装丁にも注目です。

 

 

 

第2位 西UKO『となりのロボット』

となりのロボット

となりのロボット

 

  西UKO先生、二冊続けてのランクイン。『宝石色の恋』とは打って変わって、本作は本格的な青春SF百合長編。

 女子高生のチカが好きな相手「ヒロちゃん」は女子高生の形をしたロボット。十年以上の付き合いを持つ二人は互いを理解しながら成長していった。人間として育っていくチカと機械として学習していく「ヒロちゃん」。真剣だけど不完全で純粋な二人の恋には、当然ながら大きな困難が待ち受けていた。

 キラキラと輝きながらもせつなさを孕んだシナリオは、やがて美しいラストへと辿り着きます。百合作品としてだけではなく、本格的な青春ロボットSFとしても一級品の価値を持つ、実力派の面目躍如たる名作。

 

 

 

第1位 天野しゅにんた『philosophia』

philosophia (IDコミックス 百合姫コミックス)

philosophia (IDコミックス 百合姫コミックス)

 

  百合漫画のマスターピースとなった『私の世界を構成する塵のような何か。』を完結させた天野しゅにんた先生。その熱も冷めやらぬまま、今回も新たな傑作を生み出してくれました。

  空虚な大学生活を送っていた愛が二年生になって再会した先輩・知。とらえどころのない知の不思議な魅力に、愛は次第に惹かれていく。乾いた空気、鬱屈した感情、タバコの煙が漂う中で、恋を知った女の複雑な心理が濃密なシナリオと共に巧みな筆致でどこまでも深く描かれる。

 同人誌で二年に渡り発表されたシリーズをまとめて商業化した本作は、 作者の圧倒的な人間描写力が活かされたせつないドラマ。読めば読むほどに味が出る「愛」と「知」の物語が堂々の1位です。

 天野しゅにんた先生は現在、百合姫本誌で「あやめ14」を、コミックハイ!で「ラストメンヘラー(原作:伊瀬勝良)」を連載中。こちらにも要注目。

 

 

 

 振り返ってみると今年の百合漫画界は百合姫コミックスの快進撃といった具合でした。1位となった『philosophia』を始め、由井ひな子先生の『ぱすてるデイズ』、藤沢誠先生の『ひみつのカケラ』、野中友先生の『ハミングガール』のように同人誌で発表された作品をまとめたものから、未幡先生『キミイロ少女』やコダマナオコ先生の『レンアイマンガ新装版』など、他誌で発表された作品を拾い上げるなど、百合漫画業界の覇道を確かに歩んでいる様子。

 一方で西UKO先生や『フラグタイム』など、他誌で発表された作品にもクオリティの高いものが確かに存在。『メバエ』や『SAKURA』『ユリボン』といったアンソロジー雑誌も新創刊され、また上北ふたご先生によるコミカライズ版『ふたりはプリキュア』シリーズがついに単行本化など、一部では商業コンテンツとしての難しさを囁かれつつも百合漫画界はまだまだ先行きが明るいかもしれません。

 今年も素敵な百合をありがとうございました。来年もまた名作に出会えることを祈って。

 

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