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トンデモだらけの桃太郎

桃太郎

 

 昔々、おばあさんが川で洗濯している最中、なにやらブツブツ呟いていました。

「今日の川の水は、綺麗ですね。洗濯物も、綺麗ですね。お魚さんも、喜んでますね。いつも洗濯物を綺麗にしてくれて、ありがとうございます。いつもこの川の水に、感謝しています」

 そうやって川の水に美しい言葉をかけ続けていると、なんと汚れていた洗濯物がどんどん綺麗になっていくではありませんか。

 すると川上から大きな桃がドンブラコドンブラコと流れてきたので、おばあさんは持ち帰ることにしました。

 割ってみると、なんと中から元気な男の子が。

「ああっ、ちょうど男の子がほしいと思っていたのよ。野菜ばかり食べて身体をアルカリ性にして男の子を授かりやすい身体にした甲斐があったわね。きっと思いが波動になって伝わったんだわ。さて、やっぱり子供は母乳で育てないと。でないといろんな悪い影響を持って育ってしまうからね」

 そういうと、おばあさんはおもむろに上着の前をはだけ――。

 何年かの歳月が流れ、桃太郎は立派な青年になっていました。

「おばあさん。鬼達が地球上にフォトンベルトを発生させました。このままだと2015年には地球が滅んでしまいます。実は僕は桃に乗ってやってきた古代宇宙飛行士なのです。前世で仲間だった光の戦士達を集めて、鬼退治に行ってきます」

 桃太郎の決意が本物だと理解したおばあさんは、きびを何度も希釈した水を染み込ませた砂糖の玉を桃太郎に渡しました。

「これでどんな傷も病気もたちまち治ってしまうんだ。気をつけていってくるんだよ」

 桃太郎は「日本一」と書かれた電磁波遮断シールを身体中に貼って鬼ヶ島へ向かうと、目の前から犬・猿・キジがやってきました。

「桃太郎さん、お腰につけたきびレメディ、ひとつ私にくださいな」

「君達、血液型は?」

「イヌ型です」

「サル型です」

「キジ型です」

「すまない、キジ型の血液は協調性が欠落していて自己中心的、二面性のある性格で信用出来ないから連れて行きたくないんだ」

 鬼ヶ島へたどり着いた桃太郎達は、そこに待ち受けていた鬼達へ向かって叫びました。

「つまり、お前達は俺達に退治されるんだよ!!」

「な、なんだってー!?」

 桃太郎達は一斉に襲いかかりました。しかしさすがは鬼、その強さは確かなものです。

 そこで桃太郎はとっさに米のとぎ汁をバラ撒きました。鬼達の攻撃に含まれる放射線によく効くと聞かされていたからです。

 とぎ汁が目に入って鬼達が怯んだ隙に、桃太郎達は猛攻撃。犬は自分の耳の形を利用してピラミッドパワーを発動。桃太郎の刀はちょっとだけ錆びにくくなりました。

「お、俺達が悪かった。許してくれえ」鬼達が土下座して許しを請いました。

「ダメだ。お前達がそんな悪さを働くのは、テレビゲームのしすぎでゲーム脳になり、虚構と現実の判断がつかなくなったからなんだ。俺が更生させてやる」

 そういうと桃太郎は鬼達の手足を縛ると、一匹ずつ海に叩き落としました。溺れそうな鬼達の頭を、刀で小突いていきます。

「海から這い上がってくるんだ。肉体と精神に強い負荷をかけることで脳幹が鍛えられ、情操面が改善するんだぞ」

 鬼は一匹ずつ底に沈み、ついに全員沈んでしまいました。桃太郎は金銀財宝をヨットに乗せて帰ろうとしました。

「桃太郎さん、私の座るところがありません」猿が言いました。

「おっと、すまない。これでどうかな」桃太郎は腰を拳ひとつぶん浮かせました。江戸っ子の粋なしぐさでした。

 しかし、猿が乗ったことにより重量オーバー。ヨットは沈み、桃太郎は海に投げ出されました。

「だ、大丈夫、この海はちょうどパワースポットだし、マ、マイナスイオンも発生しているから。そぼっ、それにっ、み、耳を傾けてみると、ごばっ、ほほほほら、みずっ、水からの伝ごぼぼっ、伝言がばば……ブクブク……」

 桃太郎達が沈んだ海には砂糖の玉がぷかぷかと浮かび、それもやがて溶けてなくなりましたとさ。

 

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