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この百合マンガがすごい!2021

 

 みんな元気~? ローラだよ~。

 2020年も数多くの良質な百合マンガが私達の身体の上を通り過ぎていきました。

 暮れの元気なご挨拶。今年もこの記事の季節です。

 この記事では2020年内に刊行された百合マンガ作品の中から、筆者のおすすめ作品を紹介させていただきます(同人・コミカライズ・翻訳作品・新装版・昨年刊行作品の続刊を除く)。

 

 これまでの記事リンクは以下。

 

 この百合マンガがすごい!2014

 この百合マンガがすごい!2015

 この百合マンガがすごい!2016

 この百合マンガがすごい!2017

 この百合マンガがすごい!2018

 この百合マンガがすごい!2019

 この百合マンガがすごい!2020

 

 生きて年を越せたならそれだけで優勝と言っても過言ではなかった2020年。年末年始のSTAY HOMEを百合マンガで乗り切っていくための参考にどうぞ(敬称略)。

 

 

 

 

 

合格のための!やさしい三角関係入門(1~)/缶乃

 

 

【あらすじ】

憧れの先輩・あきらの通う桜智高校を目指して勉強中の中学生・真幸は、見学に向かった桜智で在校生の凛と出会う。凛は偶然真幸の家庭教師になり、真幸からお願いされてキスを教えることに。昔から大切な人をひとりに選べない凛は真幸に惹かれていくが、一方のあきらは凛に片想いをしていた――。

 

◆百合マンガの金字塔『あの娘にキスと白百合を』で一躍人気作家となった缶乃先生の最新作は、少女たちの三角関係にスポットをあてた学生百合。先生の美しいイラストに加え、前作でも証明された複数の主人公の巧みな心理描写が冴えており、次の展開が気になってたまらない一作です。1巻の勝利を約束された感じの表紙をA3ポスターにしたくて仕方ありません。

 

 

 

 

 缶乃短編集 無職とJK/缶乃

 

缶乃短編集 無職とJK (電撃コミックスNEXT)

缶乃短編集 無職とJK (電撃コミックスNEXT)

  • 作者:缶乃
  • 発売日: 2020/08/27
  • メディア: Kindle
 

 

【あらすじ】年上のお姉さんから借金ばかりをしているヒモ志望のアラサー無職・マオが惚れられたのは金持ち女子高生のはずみ。押しの強さと経済力を駆使して振り向かせようとする少女とそれに抗う女の攻防を描いた表題作始め、コメディから泣ける作品まで、バラエティ豊かな短編を収録した一冊。

 

◆缶乃先生の作品をもう一作。やっぱり押しの強い年下はいいね! 年の差百合好きにはたまらない表題作は、描き下ろしの最終話の大満足の一本。その他の作品ももちろんレベルが高く、缶乃先生の新たな一面、多彩な側面も楽しめる短編集になっています。

 

 

 

 

 

声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている(1~2)/矢村いち

 

 

【あらすじ】失語症によって声が出せず、孤立しがちな女子高生・真白に手を差し伸べたのは、他人の心を読む能力を持つクラスメートの心崎。不器用だけどとても優しい心崎と、どこまでも素直な性格の真白は少しずつ距離を縮めていき、それは周囲の人間にも影響を及ぼしていく。

 

◆2020年度この関係性が尊いオブ・ザ・イヤー受賞おめでとうございます。読んでいて赤面してしまう百合マンガというものはいくつもありますが、特殊な設定を上手く利用して読者を思わずニヤニヤさせてしまう気恥ずかしさと、個性的なキャラと物語を包む優しいオーラが、「尊い」とはどういうことかを教えてくれます。

 

 

 

 

水野と茶山(上・下)/西尾雄太

 

水野と茶山 上 (ビームコミックス)

水野と茶山 上 (ビームコミックス)

  • 作者:西尾 雄太
  • 発売日: 2020/01/11
  • メディア: コミック
 

 

【あらすじ】「水」と「茶」くらいしか取り柄のない小さな町は、一大産業である茶園側と、茶園による水質汚染を主張する“そうでない側”とに分かれて対立を増している。
父親が“そうでない側”の先頭に立つ水野と、茶園のひとり娘で同級生から酷い虐めに遭う茶山。声をかけあうことすら許されないふたりは、人知れず逢瀬を重ねている……。(公式より抜粋)

 

◆おしゃれな都会のクラブを舞台に描かれた傑作『アフターアワーズ』で名を馳せた西尾雄太先生が新しく描いた舞台は、打って変わって歪な人間関係と価値観の衝突が蔓延る田舎町。主人公二人の関係はもちろん、周辺のキャラの掘り下げも巧みな筆致で描かれており、物語に厚みをもたせています。ハイパー濃度で読み応え抜群の逸品。

 

 

 

 

 

着物ちゃんとロリータちゃん(1~)/岡野く仔

 

着物ちゃんとロリータちゃん 1巻 (LAZA COMICS)
 

 

【あらすじ】同じクラスのギャル友同士である紗織と美絽にはお互いに秘密があった。紗織はロリータ服を着るのが、美絽は着物を着るのが大好きだったのだ。ある日、街中でばったり出くわし「私服バレ」によってお互いの趣味を知った二人は、互いの趣味を尊重し、ときに一緒に楽しみながら仲を深めていく。

 

◆衣類は人の尊厳。周囲の目を気にすることなく好きな服を着られるというのはとても素敵なことです。自己肯定と他者尊重の重要性を愛らしい関係性の百合に織り交ぜた本作は、読んでいくうちに尊さと勇気を手に入れられる佳作。多くの人に読んでいただきたい一冊です。

 

 

 

 

対ありでした。~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~(1~)/江島絵理

 

 

【あらすじ】お嬢様に憧れながらも袋ラーメンが好きな庶民であり、かつては格ゲーに夢中になっていた女子高生の綾は、校内の憧れの的である「白百合さま」が夢中で格ゲーに興じる姿を目撃し、さらに指のタコから経験者であることがバレてしまう。互いの秘密を共有した二人は、格ゲーでの対決を通じて充実感を手にしていく。

 

◆おねロリ百合の大傑作『柚子森さん』も記憶に新しい江島絵理先生の最新作は、異色のお嬢様×ゲーマー百合。これは百合なのか?熱血ゲーマーものなのか?と迷ったまま牽引力の高いストーリーに引っ張られていくと、気がつけば「どっちも満点!」と清々しい気持ちになっている、そんな不思議な魅力を持つ作品です。

 

 

 

 

 

すいとーと!(1~2)/沖野ユイ

 

すいとーと! 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

すいとーと! 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

【あらすじ】 高い社交性で「素敵な女子大生」を演じるももの本性は、がっつりとしたご飯を食べること。ある日、ニンニクたっぷりのラーメンをがっついているところを、どこか影のある後輩の清水に目撃され、以来二人は一緒に食事をする仲に。しかし、食欲旺盛な二人の関係はそこに留まることはなく……。

 

 ◆ダブルミーニングのタイトルセンスが光る本作は、すっかり一大市場を築き上げ、どこか食傷気味なグルメ漫画業界に良質な百合の風を吹かせる逸品。出てくる料理も美味しそうですが、それ以上に美味しい百合もお腹いっぱいいただけます。個人的には2巻に登場した茶碗蒸し専門店が気になります(遠方でなかなか行けそうもないですが……)。

 

 

 

 

 

夜鷹、廻る。/八汐ごよう

 

夜鷹、廻る (ヤングキングコミックス)

夜鷹、廻る (ヤングキングコミックス)

 

 【あらすじ】高校時代、淡い交際をしていた千波と優花子は、同窓会で再開したことから恋心が再燃し、以来逢瀬を重ねるようになる。すでに男と結婚していた優花子は、自分を追い詰める窮屈な結婚生活に悩んでいたが、一方、優花子に冷たく悲しい視線を投げる千波も先の見えない恋に苦しみ……。

 

◆多目的トイレのイメージを下げた不倫という背徳も、百合に混ざれば危険な味わいのスパイスに。不倫百合もすっかり百合のテーマとして定着しつつありますが、王道な設定、ストレートなストーリーながらも安定した面白さで大人の濃密な百合の味を味わえます。

 

 

 

 

 

 姉の友人/ばったん

 

姉の友人 (トーチコミックス)

姉の友人 (トーチコミックス)

 

 

 【あらすじ】14歳の中学生・るり子の初恋の相手は、姉の元・親友である今日子。大人の香りがする今日子の魅力に翻弄され、刺激的な時間を重ねていくるり子だったが、いつも一緒だった今日子と姉が絶交した理由がわからなかった。そこにはひとつの関係の終わりがあったのだ。

 

◆『かけおちガール』でも知られるばったん先生の最新作は、ひとつの恋の始まりと終わり、そこから連なる新たな恋を通じて、少女の成長も描いていく完成度の高い一冊。色香漂う丁寧な描写と、切なさの中に清々しさを残すシナリオで総合点の高い作品となっています。年明けには女性同士の関係性をピックアップした短編集も刊行されるのでとても楽しみ。

 

 

 

 

 

ヒトゴトですから!(1~2)/ユニ

 

 

【あらすじ】営業のエースを自称し、海外事業部で世界中の美女をはべらせることを夢に持つ小森の異動先に選ばれたのは、地味な人事部。失意の中、営業先の美人社員をお持ち帰りしたホテルで出くわしたのは、人事部の堅物社員である山野辺(しかも女連れ)だった。互いの秘密を知ったまま仕事に向き合う二人、人事部には様々な案件がやってくる――。

 

◆『憎らしいほど愛してる』など、こだわり強い社会人百合の良作を世に出し続けるユニ先生の本格連載は、百合の香りを色濃くまといながらビジネスマンガとしても高品質な異色の人事部コメディ。百合なのはもはや大前提! それ以上に軸となる設定やテーマが存在するという、今後の百合作品の新定番となりそうなスタイルで百合好きも特にそうでもない方でも楽しく読めます。

 

 

 

 

 

夢の端々(上・下)/須藤佑実

 

夢の端々(上) (FEEL COMICS)

夢の端々(上) (FEEL COMICS)

 

 

【あらすじ】認知症で家族の顔もわからなくなった老女の貴代子を訪ねてきたのは、かつての恋人のミツ。二人は学生時代、道ならぬ恋を儚んで心中を図ったことがあった。互いに想い合いながらも、時代や環境に翻弄され、すれ違いから異なる道を歩かなければならなかった二人の、長い歴史が綴られていく。

 

◆もう来年のNHK大河ドラマはこれでいいんじゃないでしょうか……歴史を少しずつ遡っていく巧みな構成で登場人物の背景や心情を重厚的に描き、情熱的でありながらも物悲しいひとつの恋の歴史を紐解いていく本作は、作者の技量に膝を打ちながら、着地まで美しい必読の大傑作。

 

 

 

 

 

趣味のラブホテル(1~2)/らぱ☆

 

趣味のラブホテル 1巻: バンチコミックス

趣味のラブホテル 1巻: バンチコミックス

 

 

【あらすじ】ラブホテルの取材に来たもののなかなか中に入れない同人作家の茶耶は、突然現れたふたなり美少女天使のカシオペアに誘われるままラブホの中へ。それから二人のラブホテル行脚が始まるのだが、ラブホテルに女子二人きり、何も起きないはずがなく……。

 

◆国民のテンションをあげる三大要素といえば味わいのあるホテルと百合と現金給付ですが、実在するラブホテルを紹介する百合という贅沢な本作は、ラブホ女子会というフレーズに新たな視点を与えてくれる、肩の力を抜きながら読めるコメディ。主要キャラのひとりがふたなりなのでこだわりの強い百合オタクはくれぐれも注意を……。

 

 

 

 

 

性教育120%(1~2)/【原作】田滝ききき【作画】ほとむら

 

性教育120% VOL.1 (単行本コミックス)

性教育120% VOL.1 (単行本コミックス)

 

 

【あらすじ】下ネタ好きであり、性教育にただならぬ情熱を傾ける保健体育教師の辻先生。テンションやキャラクターはふざけているものの、彼女の教える性教育は「性的同意」「同性間のセックス」「フェミニズム」など、どれも重要なものばかり。笑いながら性を学ぶ異色の性教育コメディ。

 

性教育後進国ニッポンに突如現れた本作の主題は、学校じゃ教えてくれない性教育の重要性。性癖から性指向まで多種多様で個性豊かな生徒たちの中には同性の恋人がいる女子生徒がおり、彼女が最大の百合要素といえます。あらゆる人に(できれば若いうちから)読んでほしい一冊。

 

 

 

 

 

魔女が恋する5秒前/澄谷ゼニコ

 

 

 【あらすじ】孤高の大魔女メグと魔女狩りリリスはいつも森でいがみ合っては喧嘩している宿敵関係! 好きだから悪戯して、挑発して……を繰り返してしまう、そんな不器用な二人を、周囲は呆れながらも微笑ましく見守っていた──しかし、あるトラブルで本音が漏れてしまった! 切羽詰まった状況で、ブチギレながらも二人は告白寸前の状況に!?(公式より抜粋)

 

◆魔女と百合の相性の良さはコミック百合姫のコラムでも書いたのですが、思わず顔がニヤついてしまうのを抑えきれなくなるこのツンデレ魔女百合。誰が読んでも面白い!誰が読んでも尊い! ファンタジー百合の入口にもピッタリの作品になっています。魔女と百合なんかいくつあってもいいですからね。

 

 

 

 

 

イケメン女と箱入り娘(1~2)/【原作】もちオーレ【作画】majoccoid

 

 

 【あらすじ】恋愛の経験がない箱入り娘の女子大生・里美が恋に落ちたのはイケメンの瑞樹。彼女が実は女性であることも知らぬまま里美は告白し、二人は勢いのまま付き合うことに。しかし瑞樹は自分が女性であることを里美に言い出せぬまま、勘違いの恋は続いていく……。

 

◆漫画家としてはもちろん「病月」など百合原作者としても八面六臂の活躍を見せるもちオーレ先生と、majoccoid先生の美麗なイラストが交われば、面白くないわけがない! 勘違いモノに重要なコメディセンスを発揮しながらも、しっかりと百合の尊さを真正面からぶつけてくれる本作。今後の展開が楽しみです。

 

 

 

 

 

欠けた月とドーナッツ(1~2)/雨水汐

 

 

【あらすじ】オシャレをして、メイクをして、恋をする……そんな「普通」の女性に憧れるOL、宇野ひな子。しかし、彼女は男性とつき合うという「普通」の恋愛に、自信のなさから一歩を踏み出せずにいた。恋愛に踏み込む恐れと、独りでいることへの不安の間で板挟みになり、夜道であてもなく助けを求めるひな子。そんな彼女に手を差し伸べたのは、たまたま通りがかった同じ会社のお堅い先輩、佐藤あさひだった……(公式より抜粋)

 

 ◆イノセントな社会人百合大好きクラスタの皆さん、お待たせしました。優しいタッチで描かれる本作は、変化を恐れ、それでも自分の幸福のための変化を望む主人公と、彼女を変え、彼女に変えられていく先輩の、未だ名前をつけられない感情の動きを丁寧に記し、心もほっこりするピュアなラブストーリーを存分に味わうことができます。

 

 

 

 

 

あなたと私の周波数/くわばらたもつ

 

【あらすじ】一緒にお茶をする同僚に片想いしている女子を、拾ったトランシーバーが思わぬところへ導く表題作に、濃厚死体埋め百合「お前に聴かせたい歌がある」、終わりに残る切なさが味わい深い「君のすべて」など、俊才が描くバラエティ豊かな短編集。

 

◆濃密なストーリーテリングにスッとした結末の切れ味。百合マンガ界の新たな才能として注目のくわばらたもつ先生、初の商業単行本は読み心地抜群の短編集。爽やかな学生百合から社会人百合まで、この才能、注目するなら今ですよ。

 

 

 

 

 

もし、恋が見えたなら(1~)/【原作】みかみてれん【作画】七路ゆうき

 

 

【あらすじ】 他人の恋心がピンクの矢印になって見える女子高生・鳴は過去のトラウマから、恋愛には絶対関わらないと誓っていた。しかし、入学した高校で昔の親友の紗世にあって激しい恋心を向けられる。さらに同じクラスの少女・りんなからも強烈な感情を向けられ、さらに寮では同室となり、波乱の高校生活を迎えることになる。

 

◆百合小説も市場を拡大しつつある昨今、そのトップランナーとして駆け抜け続けるみかみてれん先生の原作と、愛くるしいイラストが持ち味の七路ゆうき先生の魅力的なケミストリー。うん、間違いない! 万人に勧められる作品です。今回の紹介はありませんでしたが、みかみてれん先生による原作をコミカライズした『わたなれ』なども、読んで損無しむしろ得ありの傑作!

 

 

 

 

 

ふたりはだいたいこんなかんじ(1~)/いけだたかし

 

 

【あらすじ】32歳のシナリオライター・佐久間エリーと22歳のかけ出し声優・犬塚わこ。まわりの人たちには「先輩後輩のルームシェア」と言いながらエリーのマンションで暮らす2人は、「一日手つなぎデート」をしたり、一緒にファミレスで締め切り間際の仕事をしたり、、、フワフワで穏やかな毎日を過ごしている――。(公式より抜粋)

 

 

◆みんな大好き『ささめきこと』のいけだたかし先生、百合にカムバック! 年の差百合大好きっ子全員集合の本作は、のどかな雰囲気の中で送られる百合ップルの生活模様を覗き込む、午後に飲むおいしいお茶のような安心感が心地よい一冊。もう毎日これでええ!

 

 

 

 

 

そういう年頃になっちゃった年の差姉妹/はちこ

 

そういう年頃になっちゃった年の差姉妹 (MFC)

そういう年頃になっちゃった年の差姉妹 (MFC)

 

 【あらすじ】あたしには10歳年の離れた妹がいる。昔と変わらず慕ってくれるのは嬉しいけど、近ごろ姉以上の想いで迫られているような!? なかよし姉妹の日常を描いたほのぼのコメディ!(公式より抜粋)

 

◆瞬発力で尊さとエロティシズムを叩きつける百合筋力のスペシャリスト、はちこ先生の最新作は安定の妹攻め姉妹百合。どこを開いても尊い! どこを開いても艶っぽい! わんこそばのようにおかわりしたい濃密姉妹百合の佳作です。

 

 

 

 

 

宣伝です

 

 カードノベルサイト「yomuco」さんにて新連載『ガールズラブ・オブ・ザ・デッド』がスタートしました。当方、原作を務めております。

 

 なんとイラスト担当は百合漫画界のリビングレジェンド、森島明子先生!

 貴重で美麗な水彩イラストの数々が物語とキャラクターを彩ってくれています。

 

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【あらすじ】片思いしていた親友の凛が水泳部の合宿中に海で行方不明になり生存が絶望的に。美月は凛の後を追うため、林の奥にひっそり佇む廃校で自殺しようとしたが、そこで遭遇したのはゾンビと化し、生前の記憶を失っていた凛。そしてゾンビ女子達の集まるクラス『ゾン年B組』の面々だった。窮地を乗り切るためゾンビに擬態した美月は、凛の記憶を取り戻すべくB組に通うことになる……。

 

 個性豊かなキャラ! 涙が止まらないシナリオ! 神々しいイラスト! 鬼滅の刃の次は多分これだ! 

 

 また「yomuco」以外でもAmazonを始めとする各電子書籍サイトで単行本が配信されています。都合の良いサイトでぜひ購入してください。

 

 

 

 また、「yomuco」さんで過去に連載されており、こちらも各電子書籍サイトで単行本が全6巻で配信中の『シーツの下に銃ふたつ』(原作:星井七億/イラスト:北尾タキ先生)の英訳版が「mangaplanet」さんで配信中です。こちらもチェックお願いします!

 

『Two Guns Under the Sheet』(英訳版『シーツの下に銃ふたつ』)紹介ページ

 

 

 

 コミック百合姫で連載中のコラム『こじらせろ!百合妄想』もよろしくお願いします。

 

以上、宣伝でした。

 

 

 

 

 

今年のMBY(マイベスト百合マンガ)

マイ・ブロークン・マリコ/平庫ワカ

 

 

【あらすじ】親友のマリコが自殺したことをニュースで知ったシイノ。マリコはかねてより実父から壮絶な虐待を受けており、大人になってからもろくでもない男と付き合っては激しく傷ついていた。マリコの遺骨を強奪したシイノ。二つの魂はそのままあてのない旅に出た。

 

◆百合と表現したほうが正しいのかどうかはわかりませんが、今作を抜きにして今年の百合を振り返ることは不可能なのではないでしょうか。第1話が発表されるなりに大きな話題を呼び、エピソードが更新されるたびにトレンド入りを果たした本作。年末の各マンガランキングを席巻しているため、百合好きでなくとも知ってる方は多いでしょう。

 

◆「シスターフッド」という言葉が以前よりも広く行き渡り、掘り下げられ、認知された1年を代表する一作でもあったかもしれません。すでに連帯することができない姿になった大切な友人。もう支えることも救うことも叶わなくなった友人。それでもその魂や尊厳を連れて逃がす主人公。そこが行き先が安住の場所なのかはわからなくても。もう届けることができない言葉も叫ぶ。やがて二人の魂が呼応して、どこかで結びつく。圧倒的な濃度と勢いを持つシナリオと、それを引き立てる荒々しさを持つ画風と演出力。私にとっては間違いなく今年のベストでした。

 

◆実は第1話を読んだときのボキャ貧感想ツイートが本作の単行本の帯に名前付きで掲載され、渋谷駅構内の巨大広告にも載るという事件がひっそりと起こっています。

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 というわけで今年の「この百合マンガがすごい!」でした。

 当然この記事で紹介した以外にもたくさんの名作百合マンガが刊行され、百合はもはや出版業界における一大ビジネスになっているようです。いつか足立区が滅んでも百合は滅びません。

 気まぐれで書き始めただけの記事もなんだかんだで8年目になりました。区切りよくこのまま10年目くらいまでは書いていきたいと思います。

 いやあ~百合マンガって本当、いいものですね。また来年。