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この百合マンガがすごい!2022

 

みんな元気~? ローラだよ~。

2021年も数多くの良質な百合マンガが私達の身体の上を通り過ぎていきました。

この記事では2021年内に刊行された百合マンガ作品の中から、筆者のおすすめ作品を筆者独自の【各部門別】に表彰して紹介させていただきます(同人・コミカライズ・翻訳作品・新装版・今年以前刊行作品の続刊を除く)。

 

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この百合マンガがすごい!2014

この百合マンガがすごい!2015

この百合マンガがすごい!2016

この百合マンガがすごい!2017

この百合マンガがすごい!2018

この百合マンガがすごい!2019

この百合マンガがすごい!2020

この百合マンガがすごい!2021

 

国民の新しい生活習慣に「百合」が組み込まれて迎える年の瀬、ゴン攻め百合を読んで明るく信念を迎えましょう。(敬称略)

 

 

 

 

くそっ…じれってーな 俺ちょっとやらしい雰囲気にしてきます!!

『彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる』(1~)/Sal Jiang

 

【あらすじ】ゆるふわOLの彩香ちゃんは同じ職場の弘子先輩が大好き。日々、服装や態度でアピールするも相手にされず…。一方、弘子先輩は職場では隠しているが「女性好き」で彩香の積極的なアピールに理性が崩壊寸前!!(公式HPより)

 

・この世で一番じれったいものといえば両片想い百合だと言われていますが、肉食系レズビアンOLとゆるふわOLのすれ違いを描く、上質なラブコメディである本作は、やらしい雰囲気にしてもなかなか結ばれぬ二人の想いがすれ違うほどにミルフィーユのように尊さが重なっていき、今後訪れるかもしれないカタルシスに思わず期待が膨らみます。現在刊行されている1巻の引きがニクらしく、続きが待ち遠しくて仕方ありません。Sal Jiang先生は現在、女子同士の物理暴力百合『白と黒~Black & White~』も連載中で、こちらもオススメです。

 

 

 

 

 

コミュ賞

くちべた食堂(1~)/梵辛

 

【あらすじ】5年間、入りたいと思ってもなかなか定食屋さんに入れなかったお客さんと、入ってほしいと願いつつもなかなか入ってもらえなかった、ほんの少しお客さんの少ない定食屋の店員さん。心の声はダダ漏れですが、お互い色んな意味で好意を伝えきれません。じれったいふたりの関係は、友情? それとも…恋……?(公式HPより)

 

・コロナ禍で黙職の重要性が叫ばれる中、空前のコミュ障ブームとなりましたが、本当に尊い百合には無駄口なんて必要ないんだと思わせてくれる本作。美味しい料理はもちろん、互いを気遣い合う二人の優しくて不器用なコミュニケーションが美味しい百合のフルコースとなって、読者も思わず舌鼓。毎日この食堂に通って、酒を飲みながらこの百合を眺めたい……ツイッターでも話題沸騰の本作を読み、少しだけ優しい気持ちになりましょう。

 

 

 

 

 

最後はやっぱり筋肉賞

SHWD<<シュード>>(1~)/sono.N

 

【あらすじ】時は20XX年。先の大戦後、各地に出没する謎の生体兵器「デュナミス」の処理を生業とする、特殊組織SHWD(シュード)東京支部の新人・古賀と、教育担当・佐和田はコンビを組み、未知の脅威に立ち向かっていく……。精神《メンタル》が強い女と身体《フィジカル》が強い女の戦うバディ百合、開幕!(公式HP)

 

・本当に尊い百合に言葉がいらないのだとしたら、じゃあ何が要るのか?となると、最後に残るのはやっぱり筋肉なんですよね(※個人の見解です)。ハードな設定から生まれるアクションドラマも高品質で、戦場で花咲く百合が好きな層にもオススメ。個人的に「物理的生命力の強そうな女性の百合」が好きだからか、本作は私の感性にビビッと響きました。高い画力も見どころのひとつです。

 

 

 

 

 

女ともだちと結婚してみる賞

女ともだちと結婚してみた。(1~)/雨水汐

 

【あらすじ】「5年後お互い独り身だったら結婚しよう」そんな友達との約束が実を結び、結婚することになったくるみと瑠璃子。恋人だったわけじゃない”ともだち”同士の二人の結婚生活は、何から何まで初めてづくし。薬指の指輪がしっくりくるのか、こないのか、それはこれからの二人次第……。(公式HP)

 

・「月とドーナッツ」でも素晴らしい社会人百合を描いている雨水汐先生。なんど百合姫史上で同時連載という偉業の中で描かれる本作もまた、読者に幸せを運んでくれる結婚百合となっています。すれ違いもありながらお互いを支え合い、距離感と関係性が動き続ける二人の優しく暖かな生活を眺めていると、全ての家族が幸せなものでありますようにと祈らずに入られません。様々な家族の形、ライフスタイルが生まれ、「誰と寄り添って生きていくのか」の選択肢が増えて、「伝統的家族観」という言葉が20世紀に捨て置くべきタチの悪いジョークにしかならなくなった昨今読みたい作品です。

 

 

 

 

 

セックス賞

好きだからHしてます。/コダマナオコ

 

【あらすじ】「私たち、大好きだからHしてます!」オフィスで、学校で、エステで…etc。ココロとカラダ両方で触れ合い、感じあう。女性×女性の様々な愛のカタチを描いた、著者待望の読切作品集をご堪能ください♥(公式HP)

 

・肌色多めのかわいい百合を描かせたらトップランナーと言っても過言ではないコダマナオコ先生。最新作は幸せ感たっぷりの百合エッチを凝縮し、今年の百合エッチ分はこの一冊だけで補充できそうな短編集となりました。ソーシャルディスタンスのために愛しい誰かとの距離が離れ、身も心も厳しい寒さが続くこの頃、乾いた心を潤してくれる一冊となっています。そんな本著は内容も最高なのですが、タイトルもまた一級品。セックスはやっぱり愛がないと。

 

 

 

 

 

公式が最大手賞

バーナード嬢曰く。【友情編】/施川ユウキ

 

【あらすじ】主人公・町田さわ子(バーナード嬢)とその怒れる親友・神林しおりが登場するエピソードをまとめた選り抜き傑作選? これを読めば、二人のことがもっと好きになること間違いなし!!(公式HPより)

 

・みんな大好き「バーナード嬢曰く。」、随所に「さわしお」の百合エピソードが挟まれていることでも話題を呼んでいるのですが、今回はなんとその「ド嬢。」の百合エピソードだけをピックアップした贅沢な一冊。しかもそれが無料で頒布されているので、思わずえびす顔で「この商売上手!」と叫ばずにいられません。なお、百合には「友情」も含まれているので、「これは百合じゃなくて友情って書いてあるだろ!」というツッコミは要りません。

 

 

 

 

 

ベスト赤面賞

姉を好きなお姉さんと(1~2)/真くん

 

あらすじ「女同士ってどうやってセックスするんですかァ!?」。とある事情から仮の住まいを探していた、男運の悪いOL・日代きのめ。姉から居候先として紹介された水城あけびは、姉に恋をしていた!? 実は売れっ子マンガ家兼小説家な彼女は、めちゃくちゃピュアピュアで……。二人の関係にもだえる社会人同居百合。(公式HPより)

 

・片思いしている人間の赤面ってどうしてあんなに尊いんですかね? 百合漫画と赤面は切っても切れない関係にありますが、今年のベスト百合赤面は本作。感情に乏しく口数も少ないキャラクター・あけびが「姉と付き合えたら何がしたいのか」と訊かれた際に見せた「電気ケトルのふたカパカパ赤面」のシーンは、本作屈指の破壊力です。もちろん肝心の内容も、生活を重ねていくうちに関係性が変わっていく二人の距離感に楽しみどころが満載。

 

 

 

 

ベスト短編集賞

2DK、Gペン、アフタータイム。大沢やよい短編集/大沢やよい

 

【あらすじ】『2DK、Gペン、目覚まし時計。』から新規描き下ろし短編を収録。そしてサイドストーリーである「オフィス、先輩、キライな私。」のほか、自身の画業10周年記念で描き下ろしたオリジナル作「テイクアウトできますか?」など読切全6作品を収録した短編集。

 

・「2DK、Gペン、目覚まし時計。」の後日談が読めますよ、と言われて正気を保てる百合ヲタがいるとは思えませんが、まさかそんな夢みたいな話が実現する日がくるなんて……。表題作は言うまでもなく最高なのですが、大沢やよい先生は短編の名手でもあり、本作所収の短編はどれもやっぱり高品質。個人的には「その日、ナイトデートなので」を今年のベスト短編百合漫画にチョイスします。そして本作には、なんとルー子さんの百合も……本作を読み終えたあとは、大沢やよい先生のツイッターアカウントをチェックしましょう。

 

 

 

 

大賞

作りたい女と食べたい女(1~2)/ゆざきさかおみ

 

【あらすじ】ひとり暮らしで少食だし、作ったところで食べきれない。でも、本当はもっと作りたい! 料理が大好きな野本さんは、そんな想いと職場のストレスから、うっかり一人で食べきれないほどご飯を作ってしまう。そんなとき、お隣のお隣に住む春日さんのことを思い出して勇気を出して夕食に誘ってみると…?

 

・本作の素晴らしさを語るのに、私の言葉が必要なんでしょうか……あらゆるところで話題を席巻し、すでに抜群の高評価を手に入れている本作が今年のマイ・ベスト・百合です。いや、オールタイムでもトップクラスと言ってもいいかもしれません……。女性や同性愛者が受ける偏見や生きづらさに寄り添って、真摯に、そして暖かく描かれた物語とメッセージ性、キャラクターの魅力、美味しそうな料理、百合マンガとしての高い品質、全てが最高のバランスで整った奇跡のような作品です。

 

・「食べたい」と「作りたい」、それぞれの持つ欲求を自分が本当に求めていた形で満たされるときに訪れる幸福。その瞬間、二人の主人公の表情にたしかな「命」が宿っているのを見ていると、こちらまで120%の幸福感に満たされていきます。そんな物語の背景に潜む、社会からの理不尽な視線と要望。それに真っ向から挑む……というより、たしかな優しさで守ってくれるのが「自由」と「愛」。国民一人に一冊は配布してでも読まれるべき作品です。ふたりとも、絶対、絶対幸せになってね……!

 

 

 実はプライベートで色々とあって今年は例年と比べ、百合マンガの読める冊数が少ない一年でした。それでも百合に対する情熱は衰えておらず、今年は話題沸騰となった「ルックバック」を始め、様々な百合マンガを堪能。小説界隈でも現在直木賞候補となっている「同士少女よ、敵を撃て」などもあり、百合、ひいてはシスターフッドにピックアップした作品が爆発的に増え、百合市場的に充実した一年となりました。

 また、私個人の活動としても、各電子書籍サイトで配信中だった「ガールズラブ・オブ・ザ・デッド」の連載が大団円を迎え、「コミック百合姫」で連載中のコラム「こじらせろ!百合妄想」が秋から増ページするなど、動きも多かった年でした。

 本記事の更新も9年目。10年を目処に書き続けているので次回が最後の更新になるかもしれませんね。

 

 いや~百合マンガってほんと、いいものですね。また来年。