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逆におとぎ話っぽく村上春樹を書いてみた

 

 むかしむかし、あるところに、だれとでもベッドをともにするおんなのこがいました。

 おんなのこがパスタをゆでていると、でんわがなりましたが、それはさほどじゅうようなことではないとおもって、むししました。

 すると、パスタのなかから、おとこのこがあらわれました。

「やれやれ、ぼくはどうやらへいぼんなまちのへいぼんなパスタからうまれてしまったようだ」

「あら、なぜそうだとおもうの?」

「わからない。それはぼくのえらんだけっかではない。なやむことではないのかもしれないが、でもぼくはパスタからうまれてしまったのであって、それはきっとしかたのないことなんだ」

 おんなのこは、おとこのこに、パスタたろうというなまえをつけました。

 あるひ、まいにちジャズをききながら、じゆうぎょうをいとなむパスタたろうに、ひつじとなのるものからてがみがとどきました。

「ぼくはまちへむかおうとおもう。それはいつになるか、そしてなぜなのかもわからない。いつかせつめいできるとおもし、せつめいははたされないままかもしれない。すくなくともぼくはいきたいとおもった。それはすてきなことだとおもうんだ」

「そういうとき、おとなはおさけをのむものよ」

「なるほど、そういうかんがえかたもあるのか」

 パスタたろうとおんなのこは、たかいかべにかこまれた「まち」へむかいました。そのまちでは、タバコのポイすてがあたりまえでした。

 その「まち」にあるホテルにとまったふたりは、からだをかさねました。

 まるではるさきのモルダウがわのようにしずかなじかんでした。できたてのハニーパイみたいになめらかであたたかいそのからだに、パスタたろうはよいしれます。

「あらあら、パスタたろうってば。なんかいもしゃせいしたものだから、つかれてねてしまったんだわ」

 パスタたろうは、ゆめのなかで、ネコをおいかけていましたとさ。

 

 

風の歌を聴け (講談社文庫)

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