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この百合マンガがすごい!2017

 

 今年もやってきましたこの季節。百合マンガ市場の拡充のために行ってきた年に一度のこのランキングも今回で四度目。

 過去のランキングは以下になります。

 

 この百合マンガがすごい!2014 1位 青い花志村貴子

 この百合マンガがすごい!2015 1位 philosophia/天野しゅにんた

 この百合マンガがすごい!2016 1位 やがて君になる/仲谷鳰

 

 「やが君」や「citrus」などのヒットを皮切りに、まさに百合漫画乱れ咲きの年となった2016年。

 このランキングは2015年12月1日から2016年12月24日までに単行本が発行された広義の百合マンガ新装版・海外の作品・アンソロジー・過去にランク入りしたシリーズ作品の続刊を除く)から「管理人の好み」「勧めやすさ」を基準に独断と偏見で決めたものです。決して作品の優劣を決めたものではないことをご了承ください。

 

 

 30位から11位までがこちら。(敬称略)

 

 

 

 

30位 宮部サチ「まめコーデ」(1~)

まめコーデ 1 (リュウコミックス)

まめコーデ 1 (リュウコミックス)

 

 【あらすじ】田舎からやってきたモデル志望の女の子・姫川たま。素材は良いのに圧倒的にセンスや知識がないたまを、敏腕女子マネージャー・如月が徹底的にコーディネートする!

「満腹百合」などでも高い評判を得た宮部先生の二作目は、綺麗になりたい女の子の成長録。鳥取なまり全開の美少女を時に厳しく、時に甘やかして鍛えるバリキャリメガネ女子という組み合わせも非常に美味しい作品です。

 

 

 

29位 片倉アコ「ラストワルツ」(全2巻)

ラストワルツ 1 (IDコミックス 百合姫コミックス)

ラストワルツ 1 (IDコミックス 百合姫コミックス)

 

 【あらすじ】おさげでメガネの地味系少女・影近思信の正体は、特命を受けて悪を討つスーパー女子高生。彼女に助けられた女性は次々と、彼女に籠絡されていく……。

 衝撃の年の差百合「明日の君に花束を」で一気に注目を集めた片倉アコ先生の商業初連載は「女性版只野仁」まっしぐらのアダルティなアクション。高性能タラシである主人公が次々と女性を落としベッドインしていく展開は百合姫史上屈指のエロスです。

 

 

 

28位 めの「あとで姉妹ます。」(1~)

あとで姉妹ます。 (1) (百合姫コミックス)

あとで姉妹ます。 (1) (百合姫コミックス)

 

 【あらすじ】しっかり者の小学生・るみかの悩みは大好きな姉・ちーちゃんが超絶ぐーたら人間であること。いつか姉がしっかりしてくれることを夢観ながら、今日もるみかは姉の世話を焼く。

 「かわいさ余って好きさ100倍!」のめの先生初連載は、先生ならではの「かわいさ」を充分に堪能できる姉妹百合。ワガママ放題は大好きの裏返しとはよく言ったもので、実は強い両思いである二人の日常に注目です。

 

 

 

27位 奥たまむし「ハートオブtheガール」(全2巻)

ハートオブtheガール (1) (まんがタイムKRコミックス)

ハートオブtheガール (1) (まんがタイムKRコミックス)

 

 【あらすじ】女の子好きの女子高生・のぞみは女の子を口説き落とすとクリアできる宇宙のゲーム「ハートオブザガール」に、意中の女の子・カコイが巻き込まれていることを知り、彼女を救うためにゲームに参戦する。 

 ツイッターでも大人気の百合漫画家・奥たまむし先生の初商業連載作品はソシャゲ全盛の現代を反映したガチ百合四コマ。先生は現在、独自のセンスが光る百合漫画「明るい記憶喪失」を連載中で、こちらも期待大です。

 

 

 

26位 河合朗「ギャルとオタクはわかりあえない。」(1~)

【あらすじ】 バリバリのギャルであるまりあが周囲に隠している趣味、それはアイドル鑑賞であり、イチオシは人気萌え系アイドルの「TEN」。しかしTENの正体はクラスの地味女子・音無さんであり、相性最悪の二人は互いの秘密を共有することになる。

 昨今のアイドルブームに乗って百合マンガ業界でもアイドル百合の作品が目立つようになりましたが、本作は河合先生の持ち味が充分に活かされた、秀逸なコメディとしてもアイドル百合としても高水準の作品。

 

 

 

25位 雪子「おねだりしてみて」

おねだりしてみて (バーズコミックス)

おねだりしてみて (バーズコミックス)

 

 【あらすじ】隣の部屋から毎晩聞こえてくる女性の卑猥な声。それはひきこもりのネット女性声優によるものだった。主人公は彼女の声を聞いているうちに、自分の中にある彼女への欲望に気付き始める……表題作ほか七編を含む短編集。

「ふたりべや」で大きな人気を集める雪子先生。全百合オタク待望の百合短編集となる本作はアダルトなものからブラック系、はたまたSFからほのぼのまで、バラエティ豊かでありながらどの作品にも雪子先生ならではのイズムを感じる読み応え充分の作品集です。

 

 

 

24位 つつい「ジャックポットに微笑んで」

ジャックポットに微笑んで (百合姫コミックス)

ジャックポットに微笑んで (百合姫コミックス)

 

【あらすじ】明里が出会った後輩の女子高生・瑞希はかつて自分を見下したまま死んでいった優秀な妹に瓜二つだった。自分を心から慕ってくる瑞希と関わっていくうちに、明里の中にある妹の存在がますます大きなものとなっていく。

 期待の新人・つつい先生がこれまでに刊行してきた同人誌から表題作を含む数本を収録した本作は、独特のヒリヒリした空気感に息を呑む短編集。今後の活躍に期待が持てる新星の登場です。

 

 

 

23位 沼地どろまる「課金済ガールフレンド」

課金済ガールフレンド (百合姫コミックス)

課金済ガールフレンド (百合姫コミックス)

 

【あらすじ】 アプリで作った友達に傾倒していく少女が主人公の「トモダチアプリ」、両手が縄で繋がってしまった先輩と後輩を描く「運命の赤い縄」、強気なメイドと高飛車なお嬢様の関係が面白い「2億で落札されました。」等。

 現在コミック百合姫で「ホームズさんは推理ができない」を連載中の沼地どろまる先生の短編集は、とっつきやすい画風に、シナリオもシリアスからコメディテイストまで質が高く、広くオススメできる高水準の短編集です。

 

 

 

22位 くずしろ「兄の嫁と暮らしています。」(1~)

 【あらすじ】女子高生の志乃は兄が急死したことから、結婚したばかりの兄の嫁・希と二人暮らしをすることになる。どこかに兄の影を引きずる微妙な関係の女子二人による日常は、幸せでもあり秘密を孕んでいたり……。

 百合漫画界のトリックスター・くずしろ先生の新作は妹と兄の嫁というこれまた色々と複雑そうな組み合わせ。なにしろ先生のことですから一筋縄ではいかないはずで、個人的に今後どのように展開が転がるのか一番気になる作品だったりします。

 

 

 

21位 せきはら「悪夢の楽園」

悪夢の楽園 (百合姫コミックス)

悪夢の楽園 (百合姫コミックス)

 

 【あらすじ】「アンナ」は夢の中で出会ったサキュバスに魂を抜かれて以来、毎晩のようにサキュバスから愛撫を受けるようになった。やがて「さくちゃん」と名付けたサキュバスと「アンナ」は互いに重要な存在になっていく。

 成人百合同人で絶大な支持を誇るせきはら先生。私も同人時代から読んでいた作品が商業媒体で刊行です。本作より先に出版されている「従者の休日」は本作を読んでからでないとわからない部分がありますので、先に本作をチェックすることをおすすめします。

 

 

 

20位 柊ゆたか「新米姉妹のふたりごはん」(1~2)

【あらすじ】 両親の再婚により新しく姉妹となったサチとあかりは二人で共同生活をすることに。とっつきづらいあかりの性格に不安を覚えるサチだったが、生ハムの原木を見つけたことから二人は「料理」を通じて距離を縮めていく……。

 百合がなにかと熱い昨今の電撃からやってきた新たな刺客は、グルメ漫画ブームの一角にも食い込む胆力を持った姉妹百合マンガ。登場する料理がどれも美味しそうであることもさることながら、魅力的な二人の関係からも目が離せません。

 

 

 

19位 めきめき「オンリー☆ユー ~あなたと私の二人ぼっち計画~」

【あらすじ】ぼっち女子高生・知多子とよしやが入学した女子校では、若者の対人能力低下を防ぐため、二人一組で指輪を装着して同棲しなければならない特別プログラムがあった。正反対の性格である二人の生活は衝突もあれば接近もあり……。

 iPS細胞でお馴染み「咲-saki-」のスピンオフ漫画「怜-Toki-」を連載中のめきめき先生。直球勝負ならではのパワーを秘めた本作もまた、安定して百合の魅力を堪能することができます。

  

 

 

18位 安田剛助「私と彼女のお泊まり映画」(1~)

私と彼女のお泊まり映画 1 (BUNCH COMICS)

私と彼女のお泊まり映画 1 (BUNCH COMICS)

 

【あらすじ】毎週末、二人でお泊まりをして映画鑑賞をしている二人の女子大生、小春と麻由美。アクションからホラーまで、様々なジャンルの作品を観てはのんびりと互いの意見を絡ませあう二人の、百合力強めな映画ライフ。

 私的にも映画鑑賞が趣味な私としては響くものが多い本作。百合好きはもちろん、映画好きにもおすすめの作品です。主人公の二人が「キャロル」や「アデル、ブルーは熱い色」なんかを観たらどうなるのか想像が止みません。 

 

 

 

17位 マウンテンプクイチ「ぷくゆり」

ぷくゆり (百合姫コミックス)

ぷくゆり (百合姫コミックス)

 

【あらすじ】おとなしい性格の美優とギャルの絵理。正反対の存在でありながら互いに人付き合いが達者ではない二人はひょんなことから距離を縮め合い……人気作家による黒髪と金髪の組み合わせが熱い短編集。

 キュートな作風に強い支持が集まり、昨今は商業での活動も活発なマウンテンプクイチ先生。百合姫から二冊目の単行本は前作「ななゆり」同様、こちらもまた初々しさと愛くるしさ、そして少しのほろ苦さを兼ね備えた 眼福的作品集です。

 

 

 

16位 ねが「カワイイとサヨナラ、」

カワイイとサヨナラ、 (百合姫コミックス)

カワイイとサヨナラ、 (百合姫コミックス)

 

 【あらすじ】女の子が好きで、女の子にモテる姉が作った彼女に嫉妬する妹。その妹もまた女の子から告白され……他、通勤電車内で起こる友達未満の相手との百合模様などを描いた短編集。

 「あの娘にキスと白百合を」の缶乃先生と合同同人サークルで活動しているねが先生の短編集は、女の子達の出会いと理解の特別な部分をシャープに描いた極めて高品質な作品集。良質な妹分も摂取できます。

 

 

 

15位 保谷伸「マヤさんの夜ふかし」(1~)

マヤさんの夜ふかし 1 (ゼノンコミックス)

マヤさんの夜ふかし 1 (ゼノンコミックス)

 

 【あらすじ】自称魔女のマヤさんは文明に浸りながら毎晩のように夜ふかし。遠く離れて暮らす友人の豆山とボイスチャットで繋がっているマヤさんの夜は、カップラーメンを食べたりソシャゲに課金しまくったりAmazonの段ボールが積み重なったり……。

 一人暮らしあるあるや夜ふかしあるあるネタを楽しむこともできる作品ですが、やはり特筆すべきはマヤさんと豆山の関係性。毎日どうでもいい話をしながらもときには相手に救われたり、寂しくなって相手を強く求めたり。声だけの触れ合いでもここまで萌えられるのです。

 

 

 

14位 竹宮ジン「マイ・ファーストレディ」

マイ・ファーストレディ (百合姫コミックス)

マイ・ファーストレディ (百合姫コミックス)

 

 【あらすじ】超お嬢様学校で生徒会長を務める、学校中の憧れの的である「努力の天才」メイコは、親友のキョーコが転校生に一目惚れしたことによって自分の気持ちに気付きはじめる……親友の一番になれなかった女子の苦悩を描く表題作他四編。

 百合漫画界のバロンドール、竹宮ジン先生の短編集。もはやハズレを引く理由がありません。嫉妬に片思い、キュンとくるものからダークなものまで、練達した表現力をお楽しみください。

 

 

 

13位 伊藤ハチ「合法百合夫婦本」 

合法百合夫婦本 (百合姫コミックス)

合法百合夫婦本 (百合姫コミックス)

 

 【あらすじ】私の初恋は旦那様、彼女だけですーー住民全員に獣の耳が生え、同性同士の結婚が許された国で、小説家の元へ嫁いだハルの不器用で初々しい新婚物語。pixivで人気を博した作品の書籍化。

 独自の才能で百合漫画界の最前線をトップスピードで駆け抜ける伊藤ハチ先生。ケモミミ趣味のなかった私でも思わず目覚めてしまいそうな和風ケモミミ百合の傑作です。早くこの国にも合法百合夫婦が生まれる日が来てほしいもの。

 

 

 

12位 熊鹿るり「とある結婚」

とある結婚

とある結婚

 

 【あらすじ】同性同士の結婚が認められつつある国、アメリカのロサンゼルスで暮らす日本人同性カップルのアンナと早希。周囲からの暖かな理解と厳しい偏見、未来に対する不安、複雑な過去を抱え、迷いの中に立つ二人が下す決断とはーー。

 保守的な思想と多様性への理解がどこよりも混沌として入り組んでいる国、アメリカを舞台に繰り広げられるリアリティ溢れる作品。漫画の力をたしかに感じる現在描かれるべき新世代の百合漫画です。アメリカの同性婚事情を把握できる仕様も読みどころ。

 

 

 

11位 タチ「双角カンケイ。」(1~)

 【あらすじ】双子の妹・ひまりの代わりに本人を騙ってアルバイトへ向かったあいりは、バイト先の先輩であるちさきから人違いで告白され、とっさに正体を隠してしまったことから、ひまりになりすましてちさきと密会を重ねることになる。やがてあいりの嘘はどんどん重なっていき……。 

 まだまだ人気の「桜Trick」で百合ブームを牽引し続けるタチ先生の新作は、独特の艶っぽさにスリリングな展開を乱れ撃つ世界一危険なキャッキャウフフ。これから私、どうなっちゃうの~!?的な今後に要注目です。

 

 

 

 

閑話休題「まだまだあるおすすめの社会人百合」

 僭越ながらこのたび私、玄光社から発行された「百合の世界入門」にて「おすすめの社会人百合漫画ランキング」を寄稿させていただき、「コレクターズ」、「エビスさんとホテイさん」、「レンアイマンガ」、「2DK、Gペン、目覚まし時計。」、「私の無知なわたしの未知」を紹介させてもらいました。
 また「ねとらぼ」での連載コラムの方でも社会人百合の魅力について語った記事を書くなど、今年は「社会人百合」を推し倒した一年だったように思えます。
 ですがまだまだ紹介し足りません。そこで今年刊行分からおすすめの社会人百合漫画を三作、紹介させていただきます。

 

 西UKO「コレクターズ」(全2巻)

コレクターズ 1

コレクターズ 1

 

 「百合の世界入門」でも紹介させていただきましたがこちらでも再度。それはなぜか。今月、4年ぶりの続刊かつ完結巻がついに発売されたからですよ!
 本好き女性とファッション好き女性の社会人百合カップルを描いた本作は美しい作風に巧みな話作りも相変わらず冴えており、社会人百合の最高到達点とも言えるでしょう。ラストまで大満足の内容で、4年待ったかいが確かにありました。

 

得能正太郎「NEW GAME!」(1~5)

NEW GAME! (1) (まんがタイムKRコミックス)

NEW GAME! (1) (まんがタイムKRコミックス)

 

  ツイッターで広く使われた作中の1コマから人気に火がつき、ついに今年、アニメ化まで成し遂げたシンデレラ的作品。話題となったあのコマ、実は直後に社会人百合的な展開へと流れることはあまり知られていません。
 コウとりんのカップリングは公式にも百合と言及されたと同然の状態なので、不安になることなく二人の行く先を見守りましょう。

 

永田カビ「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」 

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

 

  社会人百合!というカテゴリに入れるのが適切なのかどうかわからないのですが、思いっきり定義を広げて入れてみました。ネットでの拡散をきっかけに、すでに各所で大きな話題を読んで売れに売れている本作。
 自分というもの、環境というものに真摯に向き合い、むき出しの心で飛び込むことの重要さと難しさ。表現力の強さに打ちのめされる、今年度最強のエッセイコミックです。

 

 

それではTOP10どうぞ。

 

 

 

 

10位 江島絵理「柚子森さん」(1~)

柚子森さん 1 (ビッグコミックススペシャル)

柚子森さん 1 (ビッグコミックススペシャル)

 

 【あらすじ】女子高生のみみかは公園で見かけた小学生の美少女、柚子森さんに一目惚れしてしまう。なんとか柚子森さんと友達になれたものの、その魅力的な一挙一動に心はかき乱され、振り舞わされ……感情の暴走が面白い、かわいいは大正義な一冊。

 今年、ネット百合界隈の話題を最もさらったメガトン級のパワー溢れる本作。2016年最強の百合ファム・ファタール、柚子森さんの無自覚な愛らしさはもちろん、ロマンスとしてもコメディとしても確かな強度を持つ快作です。

 作者の絵島先生は前作「少女決戦オルギア」でも高い評判を得た実力派。すでにブレーキの壊れたジェットコースターのような勢いでドラマを展開しているこの作品。連載はこちらのほうでチェックできます。

 

 

 

 

 

9位 竹宮ジン「恋愛ログ」

恋愛ログ (百合姫コミックス)

恋愛ログ (百合姫コミックス)

 

 【あらすじ】隣人が同性の恋人とキスしている場面を目撃したことから始まるロマンス「お隣さん」、同性の友人に劣情を告白した/された二人の女子高生の入り組んだ感情を描く「アンタ見てるとムラムラするんだけど」等、近いようで遠い「距離」を描く珠玉の短編集。

「お隣さん」は同人誌として刊行された頃から「名作だ!」と思っていたので、この度商業化によって多くの人の目に触れることになったのはありがたいところ。カバー裏のおまけもありがたさ全開です。

 今回二冊目のランクインとなる竹宮ジン先生。大常連となった百合姫からのコミックス刊行冊数も次回でついに2桁の大台に乗ります。確かな実力と人気が保証しているキャリアでこれからも我々にときめきと安心感を与えてくれることでしょう。

 

 

 

 

 

8位 百乃モト「茜色のキスは屋上で」

茜色のキスは屋上で (百合姫コミックス)

茜色のキスは屋上で (百合姫コミックス)

 

 【あらすじ】中学時代の自分が「おまじない」をかけたまま別れた年上のお姉さんとの再会を描く「エッちゃんとマイちゃんの恋模様」、雪のふりしきる田舎の通学バス内で二人きりになるクラスメートが気になる「寒空に熱視線」等、繊細かつしなやかに編み込まれた短編集。

 「私の無知なわたしの未知」での活躍も記憶に新しい百合漫画界のセンターポジション・百乃モト先生の新作は、作者の魅力が十二分に詰め込まれた高品質な作品集。少しせつなくも未来に希望を持てる本作で好きなだけときめきましょう。

 商業も裸足で逃げ出す超豪華百合同人アンソロジー「ゆりぼん」の刊行など、このところ活動がますます活発となっている百乃モト先生。今後も百合漫画界に良い影響をもたらしてくれることを期待して止みません。

 

 

 

 

 

7位 伊藤ハチ「チヨちゃんの嫁入り」

チヨちゃんの嫁入り (百合姫コミックス)

チヨちゃんの嫁入り (百合姫コミックス)

 

 【あらすじ】原因不明の病で床に伏し、次第に視力も失いつつあるお嬢様の願いを叶えるため、偽りの恋人として寄り添うことにした従者の恋を描く「主従百合本」、隣に住む優しいお姉さんに淡い恋心を抱くケモミミ少女が愛くるしい表題作等、せつなさと優しさに満ちた作品集。

 伊藤ハチ先生、二冊目のランクインとなる本作はもはやなんの疑いようもなく標準搭載となったケモミミの魅力を味わえながらも、百合成分も歯ごたえ充分。特に表題作は作者ならではの「おねロリ」分もたっぷり含まれていて非常に健康に良いです。

 今年は百合姫コミックスから三冊の単行本を立て続けに刊行、それも全てケモミミものという破竹の勢いと風のような自由度で読者を魅了する作者。百合作家個人としては今年のMVPともいえる活躍を見せてくれました。

 

 

 

 

 

6位 森永みるく「ハナとヒナは放課後」(1~2)

 【あらすじ】女子高生の花のバイト先であるファンシーショップに新人として入ってきたのはギャル風JK・ヒナ。可愛いもの好きのヒナは次第に花に心を奪われていき、今日も二人の特別な放課後が始まるーー。

 その才能は世界標準。JK百合を描かせたら無形文化財級の存在である森永みるく先生の新作は、かわいらしい意匠やギミックも目にありがたい良作。もちろんすれ違いや衝突を繰り返しながら縮まっていく二人の距離も見どころのひとつです。

 寂しいことですが実は1巻の売上が芳しくなく、連載打ち切りと次巻での完結が決まっている本作。このような魅力的な作品・作家を支えるのはやはり私達読者です。森永先生の今後の活躍に大きな期待を!

 

 

 

 

 

5位 伊藤ハチ「月が綺麗ですね」(1~)

月が綺麗ですね1 (百合姫コミックス)

月が綺麗ですね1 (百合姫コミックス)

 

 【あらすじ】住人全員に獣の耳(中略)同性同士の(中略)そんな国で、財閥のひとり娘・ちるが嫁いだ相手は幼い頃に一度出会っただけの婚約者である薬師の少女・千里。世間知らずだけど前向きなちると心優しい千里の新婚生活は、使用人のカヨも巻き込みながら、紆余曲折でも温かい毎日……。

 伊藤ハチ先生、堂々と三冊目のランクイン。今年刊行された百合姫コミックス三冊全てが高水準というモンスターぶり。前述のように全てがケモミミ百合と、嗜好への情熱と高い才能が上手に噛み合えば、ここまでの芸当が出来るものなのです。

 またシステム上の都合でランクインしなかったものの、大好評のまま今年完結を迎えた氏の代表作「小百合さんの妹は天使」では「お姉ちゃんの処女は私のものよ」「同じ産道も通ってないくせに」などのパワーワードを大量に生み出し、まさに百合漫画界の新帝王にふさわしいカリスマ性を放っています。

 

 

 

 

 

4位 トクヲツム「終電で帰さない、たった1つの方法」

終電で帰さない、たった1つの方法 (百合姫コミックス)

終電で帰さない、たった1つの方法 (百合姫コミックス)

 

【あらすじ】美人で優しい先輩社員・彩夏のことが気になる菜々子。彩夏の転職に伴い勇気を出して告白したことから二人は付き合うことに。時に残酷な思いを抱き、時に強くときめいたりする二人の日々を記した「好きとのぞみ」ほか、社会人百合カップルの魅力を堪能できる短編集。

 今年のタイトル部門MVPとも言える本作ですが、当然内容のほうも名ばかりではない高水準。昔の恋人への嫉妬、制服プレイなど、社会人百合ならではの滋味を頭から尻尾までしゃぶり尽くせる必読の一冊です。

 本書の核となる菜々子と彩夏の物語は、著者のpixivやツイッターなどでも絶賛継続中。恋愛慣れしてない女性と自分の気持ちに素直な女性の交際を描いた「しっていたこと」など、他作品も魅力満点です。

 

 

 

 

 

3位 武田春人「ろみちゃんの恋、かな?」

ろみちゃんの恋、かな?

ろみちゃんの恋、かな?

 

 【あらすじ】「楽園」で六年にわたり連載された作品の単行本化。女子高生のひろみは図書室で出会った図書委員のエミのことが気になって仕方ない。友達から少しづつ距離を縮めていく二人のごく普通の日々を、のんびりと描いた愉快な恋物語

 私的には今年最大のダークホースでした。表紙を目にして一瞬「!?」となるかもしれない本作ですが、いざ読んでみればミルフィーユのように重なったセンス溢れる恋心とコメディの連続。しこたま笑ってときめいて、その丁寧な気持ちの描写に気が付けば読者は作品の虜。最後にはとても全一巻とは思えぬ満足感で幸せな気持ちに浸れます。

 本書には蒼樹うめ中村明日美子宇仁田ゆみ、竹宮ジン、林家志弦など17人の超豪華執筆陣が描き下ろしの1ページ漫画を寄稿しています。これだけの作者を召喚できるのも本作がいかに魅力的であるかの証左。実は二人の物語はまだ続いているようなのですが、次回も六年後になるのかしら……。

 

 

 

 

 

2位 平尾アウリ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」(1~2)

 【あらすじ】収入の全てをアイドルに貢ぎ、自身は高校時代の赤ジャージしか着ていないドルヲタのえりぴよが一番に推しているのは、地方の地下アイドルグループ「Cham Jam」の人気最下位メンバー・舞菜。毎度の舞菜の塩対応にも屈しないえりぴよの強烈な愛情。一方で舞菜は自分を推してくれるえりぴよの存在を人知れず気にしていて……。

 「まんがの作り方」で一気に百合オタクからの熱い支持を得た実力派、平尾アウリ先生がアイドル百合戦国時代に投下した本作は、アクの強いキャラクターと持ち前の圧倒的なコメディセンスで読者を惹き込み、ここぞというタイミングで強烈な百合エネルギー砲を発する、余人を以って代えがたい怪作。

 ドルヲタなら共感を覚えてしまうような描写も見所のひとつである本作。アイドルとドルヲタの関係性のみならず、アイドル同士の感情の交差にも目が離せません。笑うのが先か萌えるのが先か。えりぴよと舞菜はどこに着地してしまうのか。漫画通からも評判の高い本作に触れるなら今しかない!

 

 

 

 

 

1位 小林キナ「ななしのアステリズム」(1~4)

ななしのアステリズム(1) (ガンガンコミックスONLINE)
 

 【あらすじ】ボーイッシュな性格の司、クールなキャラの撫子、異性との恋愛に夢中なみかげ。誰よりも仲の良い友人関係の三人にはそれぞれに秘密があった。司は撫子に、撫子はみかげに、みかげは司に友人以上の感情を抱いていたのだ。友情を壊したくない三人の感情は、葛藤まみれの青春の中で切なく激しく揺れ動く……。

 もはや百合として高い強度を持つ作品は専門誌からばかり出てくるわけではないことを思い知らされる昨今。今年もまた一般漫画誌から強力な新星が出現しました。第1話からばっちりと読者の心を掴み、甘くて苦い展開に彩られた三角関係を描いた作品が今年のナンバーワンです。

 丁寧かつかわいらしい画風に、緻密で詩的な心理描写。ドラマ性の強さなど、あらゆる部分がまんべんなく高水準の本作。ハッと驚く展開の連続と表情豊かなキャラの行く末が気になって仕方ありません。

 司に恋心を抱く心身イケメン男子の朝倉、司に強い感情を抱く双子の弟の昴など、百合漫画には珍しく魅力的な男性キャラ、そして男性キャラ同士の関係性からも気を逸らせず、節々まで見所満載の本作。今年だけですでに単行本が四冊も刊行されていますが、話を追うごとに濃密になっていくシナリオ。片思いのせつなさを心ゆくまで味わいましょう。

 

 

 今年の百合漫画界は去年までの百合というジャンルにおける「浸透」に対し、「定着」や「多様化」がさらに促進された一年だったように思えます。百合漫画カタログとして強すぎる「百合の世界入門」や、出版会の超大手が本気を出した百合アンソロジー「エクレア あなたに響く百合アンソロジー」の刊行、さらにコミック百合姫の完全月刊化など、もはや百合をマイナージャンルと呼ぶのも時代遅れになりつつあります。

  漫画以外にも映画では「キャロル」などの名作が公開され、アニメのほうもますますの充実度。成長著しい百合業界は新しい才能も数多く生まれ、一時期の百合雑誌の度重なる休刊時の逆風からは想像もつかない順風満帆具合。それでも百合漫画界のマーケット拡充を狙い、今後もランキングを続けていく所存です。

 また、百合漫画系ランキング記事としては、「ゆりをよむひと」さんのこちらもお役立ち情報満載なので要チェックです。

 この百合web漫画がすごい!2017

 ランキングとは関係ありませんが、私的には百合を読む側だけではなく表現する側としても力を入れ始めた2016年。年末の冬コミには某大ヒットアニメ映画の百合二次創作を新刊として頒布予定ですので、こちらのチェックもどうかよろしくお願いします。

 いや~、本当に百合っていいものですね。また来年!

 

(作者のツイッターアカウントはこちらです。よろしければフォローお願いします)