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もしも桃太郎がジェイソン・ステイサムだったら

 

 昔々、おばあさんが川で洗濯をしていると川上から大きな桃がドン!ぶらこドン!ぶらこという銃声とともに流れてきました。

「おい婆さん、何も言わずに俺を家まで運ぶんだ」

 桃にまたがっていた傷だらけの大男がお婆さんに銃を向けてそう言うと、そのまま気絶してしまいました。

すると大きな桃が爆発したのですが、お婆さんは大男を抱えたままその場から飛び跳ね、なんとか爆風から逃れました。

「うう……ここはどこだ? 俺は誰だ?」

 家の中で目を覚ました大男は、自分が老婆に看病されていたことに気が付きました。

「婆さんか、礼を言う。あとで口座に大判小判を振り込んでおく」

「アンタ、自分の名前は思い出せるかい?」

「俺は銃の撃ち方しか知らない」

「そうかい、じゃあアンタは今日から桃太郎だよ」

 桃太郎はどこか危険な香りがするいい男。穏やかに過ぎていく二人きりの日々は静かながらも熱い愛を育みました。

 しかし、桃太郎にはやらなければならないことがあったのです。

「俺は鬼退治に行かなければならない」

「そう。じゃあこれを持って行って」

「これは……マグナムか」

「きび団子よ」

 桃太郎はおばあさんに熱いキスをすると、何も言わずに背を向けて歩き始めました。

その道中、「日本一」と書かれた旗を撃ったのです。

「旗を掲げるなんて狙ってくれと言ってるようなものだ」

 すると、前から犬・猿・キジがやってきました。

「桃太郎さん桃太郎さん、お腰につけたきび団子、ひとつ私にくださいな」

「俺は団子のように甘くない」銃を突きつけました。

 桃太郎達が船に乗って鬼ヶ島に向かっていると、鬼ヶ島の方角からミサイルが飛んできました。

「ずいぶんハデな出迎えだな」

 船が爆発しました。

 その光景を見た鬼達は大盛り上がり。桃太郎を倒した記念に宴会を始めました。

 すると、ひとりの鬼が頭を掴まれ、ベンツのフロントガラスに思い切り叩きつけられました。

「鬼は鬼らしく地獄にいろ」

「桃太郎、生きてやがったのか!」

「キジに捕まって空中に逃げた。犬と猿はダメだったがな」

「おのれ人間ふぜいが! 俺は青鬼だぞ!」

「俺が赤鬼にしてやる」

 桃太郎の無慈悲な銃声が鬼ヶ島に響き渡ります。

「おい桃太郎、こいつを見ろ!!」

 振り向いた桃太郎の視線の先には、鬼の手に捕まって身動きが取れないお婆さんがいました。

「これ以上動くとこの婆さんの命はねえぞ!」

「年寄りには優しくしろと親から教わらなかったのか?」

「うるせえ、とっとと銃をこっちに渡せ!」

 桃太郎はその言葉に従って銃を鬼に投げ渡すと、両手を後頭部に回しました。

「ははは、桃太郎ともあろう者がこんな婆さんのために命を捨てるのか。まるで牙を抜かれた狼だな」

「なあ鬼。おとぎ話はハッピーエンドじゃないといけないんだぞ」

「何を言っている?」

「牙がなければクチバシで戦えということだ」

 すると、上空から猛スピードでキジが急降下して鬼の顔をクチバシでつつき、その隙にお婆さんは逃げ出しました。

「ぐっ、でもお前の銃は俺の手に……」

「めでたしめでたしだぜ」

 桃太郎は鬼めがけてきび団子を投げました。きび団子の豪速球が鬼の手から銃を弾き飛ばすと、桃太郎は鬼を全力で殴り、超高層ビルの屋上から突き落としました。

 爆発炎上する鬼ヶ島から、キジに吊られて脱出する桃太郎とお婆さん。

「これで二人きり、幸せに暮らせるのね」お婆さんが言いました。

「いや……」

 桃太郎はスマートフォンに届いたメールを見て、ニヤリと笑いました。

「ハネムーンは後回しだな」

 キジの足から離れて落下した桃太郎は、そのまま海に飛び込んでテロリストに占拠された龍宮城を目指しましたとさ。

 

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